アイスクリームと雪景色
惚れちゃったと言うのを本気にして、マンションに泊まりませんかと大真面目に誘ってきたことを思うと、困惑するしかない。

なぜなら美帆は、一度としてそんな対象として彼を意識したことが無いのだから。

黙って歩き続ける美帆を、里村は傘を差しかけ守るように見つめるが、かけてくるプレッシャーは半端なく、際限まで追い詰めてくる。

返事をしろと――

(この子は余りにも私と違いすぎる。思考せず、感覚で行動するタイプであり、だからこそ一目惚れなどという現象が起きるのだ。信じられないけれど、とりあえず今は本気モードで私に挑んでいる)

美帆は対策を練る。

いちどきに燃え上がるタイプはきっと冷めるのも早いだろう。それなら、急いで教育係を辞退することはせず、“そんな目”で見なくなるまで冷静に対処すればいい。

美帆がスッゲーキレイではなく、ましてや優しいわけでもないと彼自身が冷静に判断できるようになるまで、節度を持って接してあげればいいのだ。
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