アイスクリームと雪景色
「すみません、俺、つい前のめりになりすぎて。でも」
口ごもり、視線を気まずくさ迷わせる彼を見上げながら、女性に断られる経験など無いのだろうなと美帆は想像する。
入れ食いなんていう言葉は好きではないが、彼なら実現可能だろう。
笑っても怒っても、どんな表情になっても端正な顔立ちというのは魅力を損なわず、女の心を捕らえてしまう。
それはとてもよく理解できるのだ。
里村の大きな黒目はしばらく迷走した後、ふと、斜めの方向で止まった。ちょっと怖いような真顔になり、何かを凝視している。
「里村くん?」
視線の先に振り返ろうとしたが、電車が15分遅れで到着するとアナウンスが聞こえたので、急いでパスケースをバッグから取り出した。
「ひゃっ」
いきなりその手を掴まれ、小さく悲鳴を上げる。掴んだのは里村で、覆い被さるようにして美帆を見下ろしている。
「な、何を……」
「行きませんか、成田さん」
興奮の口調で言うと、美帆を身体ごと後ろに向かせ、背中を押して歩かせる。バルから彼女を連れ出した時のように、強引なやり方だった。
口ごもり、視線を気まずくさ迷わせる彼を見上げながら、女性に断られる経験など無いのだろうなと美帆は想像する。
入れ食いなんていう言葉は好きではないが、彼なら実現可能だろう。
笑っても怒っても、どんな表情になっても端正な顔立ちというのは魅力を損なわず、女の心を捕らえてしまう。
それはとてもよく理解できるのだ。
里村の大きな黒目はしばらく迷走した後、ふと、斜めの方向で止まった。ちょっと怖いような真顔になり、何かを凝視している。
「里村くん?」
視線の先に振り返ろうとしたが、電車が15分遅れで到着するとアナウンスが聞こえたので、急いでパスケースをバッグから取り出した。
「ひゃっ」
いきなりその手を掴まれ、小さく悲鳴を上げる。掴んだのは里村で、覆い被さるようにして美帆を見下ろしている。
「な、何を……」
「行きませんか、成田さん」
興奮の口調で言うと、美帆を身体ごと後ろに向かせ、背中を押して歩かせる。バルから彼女を連れ出した時のように、強引なやり方だった。