強引上司に絆されました
思い乱れて
家に着くと、既に二十二時。
花菜美がルームウェアで、テレビを観てた。
会社から三駅程のこのマンションは、二LDKで妹と二人で暮らしてる。
「お姉ちゃん、ご飯は?」
「残業だったから、食べて来た」
「じゃ、おかず冷蔵庫に入れといて」
「了解。明日食べる」
「うん。私はそろそろ寝るね、おやすみ」
花菜美は自室に行った。
こういう時、あまり詮索しない妹で助かる。
シャワーを浴びて、今日はもう寝てしまおうと思った。
風呂から上がって、冷蔵庫から自作のレモン水を取り出す。ほんのりとしたレモンの香りと酸味で、体にスっと入る感じがした。
グラスを洗い、自室に入る。
パイル地のルームウェアで、ベッドにゴロンと横になる。
体は疲れてるのに、全然眠くならない。
課長の事を考えたくないのに、先程の会話がグルグルと思考を支配する。
「課長の、バカ・・・眠れないじゃない」
そう呟いて、ゴロゴロと寝返りを打つ。
もう、五年以上おひとり様なんだから、どうして良いかわからない。
恋をするって、どうするの?
その先にあるものは、一体何だろう。
年齢的にも、対外的にも、やっぱり結婚はしたい。
それでも、課長と付き合って、結婚までするイメージが湧かない。
結局、私が寝付けたのは朝方。
周囲が白け始める頃だった。