強引上司に絆されました
そんなに前から?
そんな素振りは、全然見せなかったのに。
「俺と恋するのは、嫌か?」
「・・・ズルいです。こんな風に、私の心にズカズカと・・・」
「穂花は鈍感だからな。やり過ぎる位やらないと、俺を全然意識しなかっただろ」
「それは・・・課長はモテる人だし・・・」
「それで?」
「私は可愛げ無い女だから・・・」
「俺は、可愛いと思うぞ。恋を飛ばして、結婚しても良いぐらいに」
どんどん、追い詰められる。
「憧れてんだろ。いつかは私も。って」
「・・・どうして?」
「妹が言ってた。昔からお姉ちゃん、お嫁さんになりたいって言ってたって。俺に喰ってかかってさ。愛されてんな、妹に」
「なっ・・・」
花菜美ってば、なんて事を言ってくれてんの・・・。
「休みの間中、何か悩んでる様子だったから・・・俺が原因じゃないかって。先の事も考えて俺をお兄さんと呼べって、言っといた」
嗚咽が漏れそうになり、慌てて口元を抑えると涙が出てることに気付いた。
「泣くなよ・・・俺はお前の涙に弱い。俺の隣で笑ってて欲しい。穂花、返事は?」
もう、堕ちるしかないじゃない。
「・・・はい。わ、私で良ければ・・・」
そんな私に、苦笑いで激を飛ばす。
「ホント、お前は自分の事は自信無いのな。自信持て、俺がお前を選んだんだ。堂々としてろ!」
「はい」
「悪かったが、お前のバッグから化粧ポーチ持ってきてた。化粧直してこい。今から皆に公表するからな」
「ええっ?」
なんでそんなに、手際が良いの。
「うちの会社は、社内恋愛禁止じゃないし。別れるつもりも無いから、公表するんだ」
「課長・・・」
「俺の名前は、課長じゃない。吏だ、二人の時は名前で呼べよ」
「吏さん・・・」
「ヨシ!行くぞ」