強引上司に絆されました
強引上司に絆されました
慌ててメイクを直し、何とか見えるように整えると、課長・・・吏さんに手を引かれて部署に戻った。
吏さんは腕時計を見ると、企画課の全員に集合する様に声をかけた。
課長席の前に集まったのを確認して、私の肩に手を置く。
「突然だが、人事異動だ。本日13時をもって俺は経営企画部の部長となる。着任は来週の月曜日。それに伴い、佐藤主任がこの企画課の課長に。木田が主任に昇進だ」
「課長、佐藤主任、木田君、昇進おめでとうございます!」
周囲はおめでたモードだ。
「えっ?嘘・・・」
ちょっと待って、聞いてない。
内示も何も、無かったわよ。
「おう、ありがとな。おめでとうツイでで悪いんだが、近々佐藤と結婚する事になったから、宜しくな!」
ツイでって、それだけじゃ無かったの?しかも結婚って・・・まだ付き合うことが決まったばかりなのに。
吏さんは、デスクの引き出しから辞令を取り出すと、私と木田君に渡した。
「着任までの間、今抱えてる企画を仕上げながら引き継ぎするぞ。木田の引き継ぎは着任後からだ。以上、解散!」
唖然としてる私に、吏さんが言った。
「多分、裕一の画策だろうがな・・・急遽決まった異動で、木田には今朝内示したんだ。お前、倒れちまったから、イキナリで悪い」
「さっきにでも言ってくれれば・・・」
「俺も余裕が無かったんだよ、何せ、一世一代のプロポーズだからな」
Fin