強引上司に絆されました
課長に連れてこられたのは、会社近くの小料理屋さん。
小料理屋なんて来たことなかったけど、居酒屋みたいに騒がしい感じじゃなくて・・・落ち着いた感じがホッとさせる。

「吏君、いらっしゃい。あら、今日は女性のお連れ様なのね。奥のお座敷へどうぞ」

和服に割烹着を着たキレイな人。
奥にあるお座敷へ入ると、掘りごたつの様な造りで、正座が苦手な私はホッとした。

「凄く、落ち着くお店ですね」

順和風な内装の周囲を、キョロキョロと見廻す私にクスッと笑う課長。

「気負わずに寛げばいい。ここは兄の店なんだ。さっきのは義理の姉さんの琴子(ことこ)さん。カウンターの向こうに立ってたのが、兄の智(さとし)。とりあえず、飲み物はビールでいいか?」

「はい」

そこにお通しを運んできた琴子さん。

「姉さん、ビールとグラス二つと、オススメお願いします」

「はーい。こちらは彼女さん?」

「部下の佐藤」

「いつも課長にはお世話になってます。佐藤穂花です」

「ゆっくりしていって下さいね」

優雅な所作で給仕する琴子さんに、半ば見蕩れてしまった。

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