【シナリオ版】釣った夫は腐ってました!~鈴ノ木夫妻の新婚事情~
華は涙でぐしゃぐしゃになった顔で光一に抱きついた。
光一はそれを優しく受け止めた。

光一「それは、こっちの台詞。……華が無事でよかった」
光一はほっと息をつくと、胸の中にいる華の頬に唇を寄せた。

光一の説明によると、このひと月ほど新庄は華にストーカー行為を
繰り返していたようだ。あの張り紙の犯人も新庄だったと本人が認めた。
受付で華を見初めて、愛想よく対応する華と次第に両想いだと勘違いをするように
なったらしい。

光一「ついでに、俺ともめたあの時には、人間関係のトラブルで会社も退職済みだったらしい。その頃から精神的に病んでたみたいだな。華にいっそう執着するようになって、あとをつけたりして、ここで俺と暮らしてるのを知った」
華「あぁ、そういえば同棲をやめろとかなんとか言ってたかも」
光一「お前は結婚後も旧姓のまま仕事してたから、結婚したとは思わなかったみたいだな」
華「……本当にごめんなさい。光一さんじゃなくて、私のほうのトラブルだったのに
巻き込んでケガさせちゃって」
華はしゅんと肩をすくめた。
光一「華はなにも悪くないよ。あんな一方的なストーカー、自衛のしようもない。
それに……」
こつんと光一は華と額をくっつけた。
光一「華が無事なら、腕の一本や二本、くれてやってもいい」

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