【シナリオ版】釣った夫は腐ってました!~鈴ノ木夫妻の新婚事情~
華「愛がなくても、結婚生活ってやってけるの?」
悠里「知らないわよ。うちはちゃんと愛があるもの。ーーあのね、初めに言った通り、私は自業自得だと思ってるわよ。あんたは相手の表面しか見てなかった、そのくせ愛されて、幸せな結婚生活を送りたいなんて‥‥そんな都合のいい話あるわけないでしょ」

いつも以上に厳しい悠里の言葉が耳に痛い。
痛いのは‥‥その通りだと華も薄々気がついているからだろう。
光一は極上のイケメン。いつも穏やかな優しい笑顔で、華に接してくれた。華はそれをかっこいいと騒ぐばかりで、彼の表情からそれ以上を読み取ろうとはしていなかった。
疲れ気味とか、ちょっと不機嫌とか、些細な変化はきっとあったはずなのに‥‥。
思い返せば、デートで見る映画も食事するお店も、華の好みそうなものばかり選んでくれていたのだ。華は光一の好みを知ろうともしなかった。

華「たしかにね。光一さんの言う通りだわ。軽薄な馬鹿女と二重人格の冷たい男で、お互いさまってやつなのかも」
少なくとも、「騙された〜私は被害者だ」って、一方的に彼を責める権利は自分にはないだろう。

悠里「そもそもさ、華は昔からレベルの高い、無理めな男を好きになるよね。単にミーハーなだけ?」
さすが親友、悠里の指摘はなかなか鋭い。
そう、華は昔から身の丈に合わないハイレベルな男に惚れやすい。中学時代は学年で一番頭のいい高田に恋をしていたし、高校時代はサッカー部のキャプテンの澤口先輩が好きだった。ふたりとも学校で一、二を争うモテ男だったから、当然叶わぬ恋だったけれど‥‥。華のこの習性には一応理由があるのだ。
華「母親の洗脳教育の賜物なのよ」
悠里「なにそれ?」
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