【シナリオ版】釣った夫は腐ってました!~鈴ノ木夫妻の新婚事情~
光一はさらりと言ってのける。嫌みでもなんでもなく、本当に華の手料理などには興味がないという顔だ。
華(朝、ほんの少し優しい言葉をかけられたくらいで、なにを期待していたんだろう。あれは単純に仕事として、職場の同僚をかばっただけのこと)
ずしんと、華の心が重くなった。
同じ時間に家にいても、一緒に食卓を囲むこともできない。一つ屋根の下でも、別々の暮らし……。
華(やっぱりこんな関係を続けていくのは私には無理だ)
愛情どころか、友情すらもないに等しい夫婦関係。割り切ってしまえば悪くはないのかも知れないけど、華はそんなに器用じゃなかった。
真実の愛ではなかったかもしれないけど、光一はずっと憧れていた人……自分に無関心な彼を見続けるのは、やはり苦しい。
たとえばこれがお見合い結婚で、これから愛を育んでいくということなら、お互いにその気持ちがあるのなら、まだ頑張れるだろう。
けれど、光一の方にそんな気はまったくないのだ。片方が完全放棄をしている以上、ふたりの間に愛が芽生える可能性はゼロだ。
華は深呼吸をひとつして、覚悟を決める。弱気や迷いを必死に振り払い、ゆっくりと口を開いた。
華「今後の結婚生活について、お話があります」
光一が温かい紅茶を用意して、ふたりはダイニングテーブルを挟んで向かい合った。
光一「で、話って?」
なかなか話を切り出さない華に、とうとう光一がしびれをきらした。
本当は華の心の中だって、もやもやしたままで、結論なんて出ていないのだけど……それでも今の気持ちを伝えないといけない。そうしなければ、ふたりの関係は一歩も前進しない。
そう思って、華は勇気を出した。光一側は、前進なんてこれっぽっちも望んでいないことも承知の上だ。
華「この一ヶ月でよく考えたんだけど、やっぱり私は光一さんの望む仮面夫婦を続けることはできないよ。王子様みたいに完璧な旦那様じゃなくてもいい。ごく普通に笑ったり、喧嘩したり、そういう夫婦になりたいの。光一さんがそういうのが無理というなら……離婚も仕方ないと思ってる」
『離婚』という単語を実際に口に出すのは、かなりの勇気が必要だった。
華は特別若くも、美人でも、賢くもないだ。再婚のあては全くないのだから、一人で生きていく覚悟をしなければならない。
華(朝、ほんの少し優しい言葉をかけられたくらいで、なにを期待していたんだろう。あれは単純に仕事として、職場の同僚をかばっただけのこと)
ずしんと、華の心が重くなった。
同じ時間に家にいても、一緒に食卓を囲むこともできない。一つ屋根の下でも、別々の暮らし……。
華(やっぱりこんな関係を続けていくのは私には無理だ)
愛情どころか、友情すらもないに等しい夫婦関係。割り切ってしまえば悪くはないのかも知れないけど、華はそんなに器用じゃなかった。
真実の愛ではなかったかもしれないけど、光一はずっと憧れていた人……自分に無関心な彼を見続けるのは、やはり苦しい。
たとえばこれがお見合い結婚で、これから愛を育んでいくということなら、お互いにその気持ちがあるのなら、まだ頑張れるだろう。
けれど、光一の方にそんな気はまったくないのだ。片方が完全放棄をしている以上、ふたりの間に愛が芽生える可能性はゼロだ。
華は深呼吸をひとつして、覚悟を決める。弱気や迷いを必死に振り払い、ゆっくりと口を開いた。
華「今後の結婚生活について、お話があります」
光一が温かい紅茶を用意して、ふたりはダイニングテーブルを挟んで向かい合った。
光一「で、話って?」
なかなか話を切り出さない華に、とうとう光一がしびれをきらした。
本当は華の心の中だって、もやもやしたままで、結論なんて出ていないのだけど……それでも今の気持ちを伝えないといけない。そうしなければ、ふたりの関係は一歩も前進しない。
そう思って、華は勇気を出した。光一側は、前進なんてこれっぽっちも望んでいないことも承知の上だ。
華「この一ヶ月でよく考えたんだけど、やっぱり私は光一さんの望む仮面夫婦を続けることはできないよ。王子様みたいに完璧な旦那様じゃなくてもいい。ごく普通に笑ったり、喧嘩したり、そういう夫婦になりたいの。光一さんがそういうのが無理というなら……離婚も仕方ないと思ってる」
『離婚』という単語を実際に口に出すのは、かなりの勇気が必要だった。
華は特別若くも、美人でも、賢くもないだ。再婚のあては全くないのだから、一人で生きていく覚悟をしなければならない。