【シナリオ版】釣った夫は腐ってました!~鈴ノ木夫妻の新婚事情~
○図書館
光一はよく来るみたいだけど、華は図書館なんて学生の時以来だった。
古紙のにおいとシンと静まり返った空気が、懐かしいような落ち着かないような……。
華は文庫本がびっしりとつまった書棚から数冊を取り出し、先に席に座っているはずの光一を探す。
窓際の一番奥の席で、光一は真剣な顔でページをめくっていた。
華「なに読んでるの?」
そう声をかけると、光一は読んでいた本をもちあげ表紙を見せてくれた。
華「……民族紛争と世界経済? せっかくの休日に難しそうなの読むんだね」
光一「仕事のための勉強。最近、担当の商材が変わったんだ。中近東の情勢にはそれほど詳しくなかったから、急いで知識を入れないと」
光一「そっか。大変なんだね」
華(光一さんの長所……仕事に対する真面目な姿勢。私もひとつ思い出したよ)
そう思ったけれど、彼の邪魔をしちゃ悪いので口には出さないことにした。
光一「そっちは?なに読むの?」
華はつい最近映画化の決まったベストセラー作家のミステリー小説を見せた。
華「読書好きの光一さんにはミーハーって、バカにされるかも知れないけど」
光一「なんで? 読書の趣味にいいも悪いもないだろ。それに、その作家は売れてるだけあって構成力とか抜群だと思うよ」
華「ほんと? 実は初めて読むんだよね。楽しみ!」
光一はよく来るみたいだけど、華は図書館なんて学生の時以来だった。
古紙のにおいとシンと静まり返った空気が、懐かしいような落ち着かないような……。
華は文庫本がびっしりとつまった書棚から数冊を取り出し、先に席に座っているはずの光一を探す。
窓際の一番奥の席で、光一は真剣な顔でページをめくっていた。
華「なに読んでるの?」
そう声をかけると、光一は読んでいた本をもちあげ表紙を見せてくれた。
華「……民族紛争と世界経済? せっかくの休日に難しそうなの読むんだね」
光一「仕事のための勉強。最近、担当の商材が変わったんだ。中近東の情勢にはそれほど詳しくなかったから、急いで知識を入れないと」
光一「そっか。大変なんだね」
華(光一さんの長所……仕事に対する真面目な姿勢。私もひとつ思い出したよ)
そう思ったけれど、彼の邪魔をしちゃ悪いので口には出さないことにした。
光一「そっちは?なに読むの?」
華はつい最近映画化の決まったベストセラー作家のミステリー小説を見せた。
華「読書好きの光一さんにはミーハーって、バカにされるかも知れないけど」
光一「なんで? 読書の趣味にいいも悪いもないだろ。それに、その作家は売れてるだけあって構成力とか抜群だと思うよ」
華「ほんと? 実は初めて読むんだよね。楽しみ!」