【シナリオ版】釣った夫は腐ってました!~鈴ノ木夫妻の新婚事情~
今日のデートは本音で向き合うことが目的だけど、なにからなにまであまりにも趣味が合わないという結末になってしまうのは悲しすぎるから。
もしかしたら、いい夫婦になれるかもって、ほんの少しくらいは光一にも思ってほしいから。

__二人がこれからどうなっていくのかは全然わからないけど、自分自身の気持ちはもう自覚し始めていた。

華(私は光一さんに振り向いて欲しいよ。仮面夫婦ではなく、本当の夫婦になりたい。__私を好きになって欲しい)

光一の本性を知って、最低だと思うし騙されたとも思う。けど……今の彼のことも嫌いになんてなれなかった。
外見がかっこいいから? 安定した結婚生活を失いたくないから? 今の気持ちも結局は打算なんじゃない? 
そんなふうに、何度も自問自答を繰り返した。
でも、それだけとは思えなかった。その気持ちを今は信じたい。

光一「ジャネット監督の新作。俺、ファンなんだよね」
光一の回答は華を少しだけ落胆させた。人気の映画監督だけど、なんだかラストがすっきりしない作品が多くて、華は苦手だった。
けど、それは彼には内緒だ。

華「ほんと? 私もそれ見たかったんだ。楽しみだね」
とびきりの笑顔で答えたはずなのに、光一は眉間にしわを寄せて、華の頬を軽くつねった。

華「いたたっ」
光一「約束は?」
華「へ?」
光一「素のままで、本音を言い合うって約束だったろ?」

華(なんで嘘って、ばれたんだろう……)
華が返答に困っていると、光一はため息まじりに言葉を続けた。


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