【シナリオ版】釣った夫は腐ってました!~鈴ノ木夫妻の新婚事情~
美香「じゃあ、おつかれさまです」
華「うん。もう遅いし気をつけてね〜」
美香「うち駅近だから、大丈夫ですよ!おやすみなさーい」
地下鉄の改札で美香と別れ、華はひとり電車に揺られる。都会の夜十一時なんて
まだまだ人も多く、電車も朝のラッシュかと思うほど混雑している。

だから、華はなんにも心配なんてしていなかった。
華(スタイル抜群で美人の美香ちゃんならともかく、私じゃね~痴漢も興味わかないでしょ)

〇人気のない夜道

光一のマンションまでは閑静な住宅街を通り抜けるため、人通りは少なく静かだ。

距離をあけるでもつめるでもなく、ぴたりとついてくるその靴音を、華は最初は気にしすぎなのだと思っていた。
華(同じマンションの住人さんとたまたま帰宅が一緒になったのかも。いやいや、お向かいの豪邸のご主人かも)

けれど、一度気になり出すと想像は悪い方、悪い方へと向かっていく。

華(自意識過剰かもしれないけど……万が一、痴漢だたら?通り魔だったら?)

ドクドクと鼓動が速くなり、膝が震えた。

華は進路を変え、ついさっき通り過ぎたコンビニまで戻ることに決めた。
もしおかしな人でなければ、何事もなくすれ違うはず……意を決して振り返ると、全身黒っぽい服を着た男がこちらを見ていた。そして、にやりと笑った……ような気がした。 






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