【シナリオ版】釣った夫は腐ってました!~鈴ノ木夫妻の新婚事情~
光一「大体な、こんな時間になるなら俺に連絡しろよ。駅まで迎えに行くのに。なんかあってからじゃ、遅いだろうが」
光一は髪をクシャクシャとかきまぜながら、大きなため息をついた。イライラがピークに達してる様子だ。
華はなんと答えようか迷ったあげく、正直な自分の気持ちを伝えることにした。
華「迎えって……だって、私はただの同居人なんでしょ? そんなこと頼めないよ」
華(どこまで甘えていいのかなんて、全然わからない。光一さんとの距離を縮めたい気持ちはあるけど、いま私たちの間にはどのくらいの距離があるのか……私はそれすらわかってないもの)
光一「その通りだよ! ただの同居人が余計な心配かけさせんなっ」
これまで聞いたこともなかった鋭い怒鳴り声に、華はびくりと体をこわばらせた。
光一自身も自分の声に驚いたかのように目を見開いた。
光一「……違う。悪い。そうじゃないんだ」
彼らしくない、うろたえたような声。
華「光一さん?」
カーペットの上にぺたりと座りこんでいた華に向き合うような形で、彼も腰をおろした。
そのまま光一は華の肩に頭をうずめた。
いつもの冷静な彼とは全然違う。幼い子どもみたく無防備だ。
光一「なに俺の知らないところで、勝手に危険な目にあってんだよ。……頼れよ」
華「だって……」
光一「矛盾してるのはわかってる。同居人だって突き放してたのは俺の方なのに。いま、自分でも自分の感情がよくわかってないんだ」
光一が頭をあげ、視線がぶつかった。彼は目を逸らさない。まっすぐに華を見つめたままだ。伸びてきた大きな手のひらが華の頬を撫でる。少しひんやりとしたその感触を華は心地よいと感じた。
しばらくは二人とも無言のままだった。けれど、不快な沈黙ではない。
光一が華を心配してくれた気持ち。そして、そんな自分に戸惑っていること。彼の視線から、表情から、十分に伝わってくる。
やがて、光一がぽつりと言った。
光一「怒鳴ったりして悪かったな」
華「……じゃあさ、お詫び代わりにひとつお願いしてもいい?」
華(勇気を出してみようか。二人の関係を一歩進めるために)
光一「なに?」
華「今夜は同じ部屋で寝てもいい?」
光一は髪をクシャクシャとかきまぜながら、大きなため息をついた。イライラがピークに達してる様子だ。
華はなんと答えようか迷ったあげく、正直な自分の気持ちを伝えることにした。
華「迎えって……だって、私はただの同居人なんでしょ? そんなこと頼めないよ」
華(どこまで甘えていいのかなんて、全然わからない。光一さんとの距離を縮めたい気持ちはあるけど、いま私たちの間にはどのくらいの距離があるのか……私はそれすらわかってないもの)
光一「その通りだよ! ただの同居人が余計な心配かけさせんなっ」
これまで聞いたこともなかった鋭い怒鳴り声に、華はびくりと体をこわばらせた。
光一自身も自分の声に驚いたかのように目を見開いた。
光一「……違う。悪い。そうじゃないんだ」
彼らしくない、うろたえたような声。
華「光一さん?」
カーペットの上にぺたりと座りこんでいた華に向き合うような形で、彼も腰をおろした。
そのまま光一は華の肩に頭をうずめた。
いつもの冷静な彼とは全然違う。幼い子どもみたく無防備だ。
光一「なに俺の知らないところで、勝手に危険な目にあってんだよ。……頼れよ」
華「だって……」
光一「矛盾してるのはわかってる。同居人だって突き放してたのは俺の方なのに。いま、自分でも自分の感情がよくわかってないんだ」
光一が頭をあげ、視線がぶつかった。彼は目を逸らさない。まっすぐに華を見つめたままだ。伸びてきた大きな手のひらが華の頬を撫でる。少しひんやりとしたその感触を華は心地よいと感じた。
しばらくは二人とも無言のままだった。けれど、不快な沈黙ではない。
光一が華を心配してくれた気持ち。そして、そんな自分に戸惑っていること。彼の視線から、表情から、十分に伝わってくる。
やがて、光一がぽつりと言った。
光一「怒鳴ったりして悪かったな」
華「……じゃあさ、お詫び代わりにひとつお願いしてもいい?」
華(勇気を出してみようか。二人の関係を一歩進めるために)
光一「なに?」
華「今夜は同じ部屋で寝てもいい?」