【シナリオ版】釣った夫は腐ってました!~鈴ノ木夫妻の新婚事情~
華「あの、光一さん?大丈夫?」
視線がぶつかる。
長めの前髪の隙間からのぞく彼の瞳がやけに熱っぽくて、華の心臓はどきりと大きくはねた。
光一「一晩一緒にいたら、俺なんかおかしなことするかも……今日っていうか、最近ちょっと
情緒不安定だから」
華「情緒不安定って……なんかあったの? 仕事?」
その発言に光一さんがふっと笑みを漏らした。
光一「アホ。俺が仕事ごときで情緒不安定になるはずないじゃん。__お前のせいだろ。ただの同居人……のはずの女に振り回されて、なにやってんだかなー」
言葉はずいぶんと辛辣だけど、光一はどこか楽しそうに笑った。

「よしっ」と小さくつぶやきながら、光一は立ち上がった。そして、座り込んだ
ままの華を見下ろして言う。
光一「いいよ。今夜は俺の部屋にこいよ」
華「えっ……いや~なんか冷静になったら恥ずかしくなってきたし、やっぱりひとりでも大丈夫です」
華はすっかり逃げ腰だ。
光一「自分から誘ったくせに? 大体、恥ずかしいって、なにをいまさら」
逆に光一のほうはすっかり自分のペースを取り戻したらしく、意地悪な笑みを浮かべている。

『なにをいまさら』
たしかにその通りだ。付き合ってたころ、泊りのデートは何度か経験済み。

華(だけど……あのころの光一さんと今の光一さん、あまりにも別人すぎて、とても
同じには考えられない)

あの頃の彼も、ずべて華の妄想なんじゃないかと思ってしまうほどに素敵だった。
けど、あの時の彼より、いま目の前にいるこの人のほうが何倍も華の心をかき乱す。






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