【シナリオ版】釣った夫は腐ってました!~鈴ノ木夫妻の新婚事情~
華はパチパチとまばたきを繰り返す。光一の台詞と、記憶のなかの素敵なファミリーがどうしても結びつかなかった。
華「うん?言ってる意味がよくわからないような……」
まったくもって、理解が追いつかない。
光一「外面だけは取り繕ってるけど、あの二人、本当は犬猿の仲なんだよ。親父にいたっては、外に子どもまで作ってるし」
ダブル不倫、愛人に隠し子、異母兄弟、泥沼の遺産相続争い。ワイドショーのテロップにありがちな単語が、華の頭の中を流れていく。
華「う、うそ……人は見かけによらないって言うけど、よらなすぎるでしょ!」
光一「まぁ、俺の親だしな」
光一は、なぜかしたり顔だ。

華「あっ!そうか、そうなんだ……」
光一「なんだよ?その哀れみに満ちた目は」
華「両親の不仲に、幼い光一少年はいたく傷ついたんでしょ。それで、性格がひねくれまくって、結婚にも夢がもてなくなったのね」
華(仮面夫婦希望だなんて、まったく理解できなかったけど、やっぱり理由があったってことよね)

華「よし、決めた!私の愛で、光一さんの歪んた心をきっと元に戻してみせるからね」
そう意気込む華の横で、光一は不思議そうに首をかしげている。
光一「いや、先走りすぎだから。つーか、ひねくれただの、歪んだだの、余計なお世話だ」
光一はごろりと寝返りをうって、うつ伏せになる。その状態から上目遣いに華を見て、ふっとほほえんだ。前髪のすきまからのぞく、薄茶色の瞳がとんでもなく綺麗で、華の心臓は打ち抜かれた。

華(やっぱり、このイケメンぶりはずるいよ。反則だ)








< 74 / 130 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop