【シナリオ版】釣った夫は腐ってました!~鈴ノ木夫妻の新婚事情~
光一「母性愛に目覚めてるとこ水を差すようで悪いけどさ、俺両親のことは
普通に好きだよ」
華「そうなの?」
両親が好きと言われて驚くのもおかしな話かもしれないけど、華は少し驚いた。
『エリート上流家庭だけど、冷めきっていて崩壊寸前!』みたいなイメージを勝手に抱いてしまっていたからだ。
光一「うん。親としての役割は十分すぎるほど果たしてもらってるし、二人とも子どもに愛はあるしね。政略結婚的な縁組だったみたいだから、気軽に離婚できない事情も理解できるし」
華「なるほど……」
光一「親父は愛人の子もきちんと認知はして責任は果たしてるみたいだし」
華「う~ん、そこはちょっと簡単には同意できないけど」
愛人に子どもとか、認知とか、華の平凡な日常とはかけ離れすぎていて、想像が及ばない。
でもまぁ、彼が両親を好きだと思えるのなら、それはいいことなのだろう。

華「でもさ、じゃあなんで仮面夫婦希望なの?」

華(両親の不仲によるトラウマってわけではなかったのか)
光一は少し考えこむような素振りで、顎をなでた。
光一「俺にとっては、それが当たり前の夫婦だったから……かな。お互いの存在に縛られることもなく、自由で、別にありなんじゃないかなーって。もちろん、世間一般から見れば異端なのもわかってるけど」
華「そっか。たしかに、結婚のかたちなんて人それぞれだもんね。本人同士が納得してるなら……って、待って!ダメ、ダメ」
華はあわてて、首をぶんぶんと振った。
光一「いま、納得しかけてたろ?」
光一がくっくっと笑いをこらえながら、言う。


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