【シナリオ版】釣った夫は腐ってました！～鈴ノ木夫妻の新婚事情～

華（昨日のあやしい男だって、もしかして女の人だったとか？いやいや、それはないか）

華は改めて、あの紙を手に取った。強い筆跡の赤い文字に、激しい憎悪がこめられている
ような気がした。
顔をしらない女の人がこれを書いているところを想像して、背筋が凍った。

華（光一さんに相談したい。今すぐ帰ってきてほしい。だけど……）

犯人の女と光一の関係を知りたくない。だから、光一に電話するのをためらってしまった。

華（光一さんの熱狂的なファンとか昔の恋人なら、まだいい。もし現在進行形の恋人
だったら……あの夜、一緒にいた相手だったら……）

あの日、デートとの帰りだったにも関わらず、光一は電話の相手のもとに向かった。
そして、夜遅くまで帰ってこなかった。

華は衝動的にその紙を破り捨てて、ごみ箱の奥に押し込んだ。
破り捨てたからといって、なかったことにはならない。それはわかっていたけれど、
見ないふりをしてしまいたかった。

華（私はいつも肝心なところで、現実と向き合えない）