【シナリオ版】釣った夫は腐ってました！～鈴ノ木夫妻の新婚事情～

マンションに帰るのは怖いが、外で一晩過ごすわけにもいかない。華は途方に暮れていた。

スカートのポケットに入れてあるスマホが振動した。華はスマホを取り出す。光一からの着信だった。

華（出て、なにを話せばいいの？）

華はそっと着信拒否のボタンを押した。それでも、光一が自分を見捨てていないことに、どこかほっとしてもいた。

松島「ーい！おーい！　あっ、やっぱり」
ふいに後ろから肩をたたかれ、華は振り向く。松島だった。

松島「どうしたの？あの後、家に帰るって言ってなかったっけ？」
松島の方はたまった仕事をようやく終えて、会社を出たところだった。
華「ま、松島さん……」
涙の滲む目で、華は松島を見上げた。
松島「ど、どうしたの？なんかあった？」
松島の気遣わしげな優しい声に、緊張の糸がぷつんと切れた。華はふらふらと、その場にへたりこんだ。