【シナリオ版】釣った夫は腐ってました!~鈴ノ木夫妻の新婚事情~
光一「なんで、自分の家庭で起きている重大な事件を妻からじゃなく、他人の松島から聞かなきゃならないんだ?」
静かだが、怒気を帯びた声だった。華が答えないでいると、光一はなおも続けた。
光一「……俺より松島のほうが信用できるってことか。まぁそうかもな、松島も結婚相手には最適のエリートだしな。あいつはまだ独身だし、頑張ってみたら?」

華(な、なによ。それ)

華はきっと、光一をにらみつけた。
華「なんなの、いきなり! 私はともかく松島さんに失礼すぎる。最低だよ」
光一「人の嫁とコソコソ会ってるのは失礼じゃないのかよ」
華「コソコソなんて会ってないわよ!
さっき偶然会っただけ」
光一「……夕方からずっと一緒だっただろうが。なんで嘘つくんだよ、お前もあいつも」
華「えっ……」

華(夕方って……カフェの話?)

華「ちょっと待ってよ。光一さん、なんか誤解してる。たしかに、夕方に会社近くのカフェでも会ったけど。あの後、私はマンションに戻ったし、松島さんは会社に」
光一「はっ。ずいぶんと、都合よく偶然が続くんだな」

華は正直に話をしているのに、光一はまったく取り合おうともしない。
華は思わず手を振り上げた。光一の頬を叩こうとして、直前で手を止めた。

華「……もういい。そんなこと疑われてるなら、もういいよ。大体、もし私と松島さんがデートしてたとしても、光一さんにそれを責める権利があるの?」
光一「どういう意味だ?」
光一は片方の眉をつりあげた。


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