お屋敷の雪と奈奈
「?なんですか?」
体温が上がっているのがばれないか、そろりとそろりと顔をあげる。
女のようなきめ細やかな肌の、男の線の強さが感じられる綺麗なうなじが目にとまる。
「奈奈、この前の3日に16さいの誕生日を迎えたね」
「あ、はい。雪さんにもお祝いしてもらえて」
すうっとしなやなか白い手が伸びる。
奈奈の頬に指が触れた。
奈奈は突然のことにビクッと一瞬震えたが、そのまま受け入れる。
指が一本ずつ頬に触れ、手のひらがひた、と触れ合った。
「奈奈。今夜も月が綺麗だ」
自然と目が雪の方へ向いた。雪の顔は蝋燭の火に照らされているにも関わらず、表情が読み取れなかった。
「一生、ここで僕と生きよう…?奈奈」
その瞬間、周りが黒に覆われた。