彼女を10日でオトします
「たすく、プリンとから揚げの食べあわせってどうなのよ?」

 琴実さんは、顔を引き攣らせて戸部たすくの手にしっかり握られた2個目のプリンのを指差す。
 
「さあ。よくわかんない」

 そういいながら、気だるそうにプラスチックのスプーンを口に運ぶ。

「しかし、相変わらず凄い量だな。昨日はたしか、ゼリーだったか?」

「忘れた。テキトーに選んでるから。
俺、食べ物に執着ないからなぁ。
俺の体は、可愛い子の愛でできてるの」

 執着とかいうレベルじゃないわよね。

 「私の血は、ワインでできてるの」ばりに言う戸部たすくの机には、10個のプリン。

 み、見るんじゃなかった。
 甘いものが苦手なわけじゃないけれど、さすがにこの量は吐き気をもよおすわ。

「たすくさん、いくらなんでも、それじゃあ体を壊すわよ」

「なに、なに!? キョン、俺の体の心配してくれてるのっ!?
しかも、キャッ、たすくサンだって!
まるで新婚夫婦だあ」

「……あと、もう10個、その減らず口に詰め込むわよ」

「まじで!? あーん、してくれるの?」

 この腹の底からふつふつと沸き上がるものを『殺意』と名付けてもいいかしら……?
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