彼女を10日でオトします
「まあ、響ちゃんを初めて抱いたのは俺だからな。だいたいの事は知っていると自負しているが」

 のあっ!

 貴兄、誤解を招く言い方だよ! 「抱き上げた」が正解でしょ!?

「むー。何をっ! 貴史ちゃんの癖に生意気ねっ!
いいもんっ! キョンを違う意味で初めて抱いちゃるから。ねー、キョン」

 な、なんの宣言よっ! びっくりするじゃない。はあ、でも、変な事言われなくてよかった。
 ……じゅうぶん変な事言われたような気もするけど。

「絶対許さんっ!! 響ちゃんには、まともで一途な男に愛されながら、優しくリードされて……」

 !?

「貴兄っ! 何を言い出すのよ、バカじゃないの!?」

 思わず立ち上がって、貴兄を睨みつけた。

「あー! 貴史ちゃん、それってまんま俺じゃあん」

「んなことあるかああ!!」

 保健室に響きわたる貴兄の怒声。米粒が飛んできそうな勢いで。

「わあった、わあった。
貴史ちゃんがそんなに望むなら、初え●ちだけじゃなく、初ちゅーも……」

 伏せなきゃいけないようなことをサラっと……コイツは。

「ふふふ……」

 戸部たすくのサラっと発言に、貴兄は俯いて(多少気持ち悪い)笑い声を浮かべた。

「た、貴兄、どうしたの? (気持ち悪いよ?)」


「はっはっは! たすく! 残念だったな! こんな事もあろうかと、とっくに響ちゃんのファーストキスは頂いておいた!」

 なんですってえぇぇ!!
 お姉ちゃんと結婚しておきながら、なんたる仕打ちっ!

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