彼女を10日でオトします
 無数にあるインデックスの中から、『数字』を探す。
 
 数字が見える……?

 基数、分数、序数、数字根……違う。

 記憶の引き出しをパラパラめくるが、該当しそうなものは見つからない。

 キョンの言う数字は……もしかしたら、D・タメート!?

「キョン、それって、共感覚?」

「共感覚……?」

 キョトンとした顔で俺をみるキョンに補足を試みた。
 頭の中で共感覚のページを開く。

「ある方向から見れば、神経の病気といわれている。
しかし、DSMやICDには掲載されていない。
曖昧なんだ。病気とは言い切れない。
音が色に見えたり、文字が色に見えたり、単語に関して味がしたり、様々だ。
そして、キョンのように風景が数字に見える、とういう共感覚者もいる」

「あの……」

「でも、キョンの場合、少し違うようにも思える。
風景全てが数字に見えるわけでは無さそうだし……」

「たすくさん! ごめんなさい、よくわからないわ。
それに、たすくさん……別人みたい」

 はっ!

 再び見たキョンの顔は、キョトンから、いぶかしげなものに変貌し、俺の顔を覗きこんでいた。

 俺……やっちゃった。

   
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