彼女を10日でオトします
32。4日目
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カンカンカン!
鉄を叩き合わせたような、けたたましい音が、まだまだ睡眠を貪りたい脳みそに響く。
うう。なんなのよ……。
その魔の音響から少しでも逃れようと、掛け布団を深く被る。
掛け布団の効果といったら、まったくの皆無で、逆に、音が閉ざされた空間の中で反響しているみたい。
ああ、違う。この音、私を狙っているんだわ。だって、どんどん近づい――
「響ちゃん、起きなさあい!」
部屋の扉が開くと共に、お姉ちゃんの大声。プラス、カンカン。
急に、冷たい空気に包まれた。
私の愛しい布団ちゃんは、おたまを持った、お姉ちゃんの右手に捕われてしまった。
それにしても、お姉ちゃん、フライパンとおたまのコラボって古典的すぎるとおもうわよ。
「さあ、さあ! 起きた、起きた!
歯磨いて、顔洗って、お姉ちゃんの部屋に集合!」
ベッドの上でまるまる私の、耳元で、再びおたまとフライパンが大合唱。
カンカンカンカンカン!
「わ、わかったから。お姉ちゃん、頭がガンガンするわ」
一体、何なのかしら。
ハテナマークが占領する頭を持ち上げて、そのままベッドに腰をかけた。