彼女を10日でオトします
「で、何故あなたがここにいるのかしら?」

「何故? 決まってるじゃない。
『キョンとたっしー、ドッキドキ初デートの巻』でしょ」

 はあ?

「デ、デートって何のこと?」

「だぁかぁらぁ、昨日の帰り際、燈子さんに、キョンとのデートを申し込んどいたの」

「……ちょっとまって」

 おかしい。何かがおかしいわ。

 まず、当事者の私がどうして、その『なんたらデートの巻』をしらないわけ? そのまえに……。

「たすくさん、あなた、どうしてお姉ちゃんに私とのデートを申し込まなきゃいけないのよ」

「燈子さんに言った方が、デートできる確率が格段に高いからぁ」

 戸部たすくは、白い歯をにーっと見せて、
「だってキョンに直接言ったって、断られるのがオチだもん」
だって。

 信じられない!!
 こいつとお姉ちゃん二人して、私を嵌めたのね!?

 情けなさとどうしようもない悔しさが込み上げてくる。
 目の前でヘラヘラ笑う、タチが悪すぎる男を睨みつけた。

「うわあ、キョンちゃんのその目、すっげぇ興奮するう。
あ、待たせちゃったお詫びに、ちゅーしてあげ――」

「お断りよ!」

「キョンは、照れ屋なんだからあ。
ふたりっきりになったら、いっぱい可愛がってあげるからね」

 いるかあぁぁぁっ!!

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