彼女を10日でオトします
人参男は、ぐいぐい私の腕を引っ張る。
世の中にこんな強引な人が、戸部たすく以外でいるのね!
というか、いいから離しなさい。
踏ん張る私の抵抗も虚しく、ずるずると引きずられはじめたとき、
「あーあ、俺のお気に入りを誘拐しちゃダメじゃないのお、天野クン」
ぬっと現れた戸部たすくが、人参男の手を「め!」と叩いた。
アマノクン?
アマノくん、アマノくん……。
ああ! そういえばこの人参男――。
「あんた何? 響子先生の知り合い?」
と人参男もとい、アマノさん。
「ふっふーん、天野クン、イイコト訊くねえ。
知り合いというか、もはや――」
「顔見知りです」
「ぎゃん。キョンちゃん、酷いじゃないのよお」
「ようやく名前を知った程度の知らない人です」
「うう。俺、泣くよ? ここで泣いちゃうよ?」
どうぞ、ご勝手に。
「つーか、あんた何なの?
なんで俺の名前知ってるわけ?」
ちょっと怒った様子のアマノさん。
髪をかき上げる仕草が、戸部たすく以上に生理的に嫌だわ。
「なんでって、天野クン、有名人じゃあん。
俺、ガキの頃から知ってるよん」
戸部たすくは、そう言いながら、私をばふっと引き寄せる。
なぜ、ばふっ、かというと、引っ張られた勢いで戸部たすくの体に背中が当たったから。そして、もこっとしたダウンジャケットの中に私の上半身の殆どが埋め込まれてしまったから。
いいから、あなたも離しなさい。
世の中にこんな強引な人が、戸部たすく以外でいるのね!
というか、いいから離しなさい。
踏ん張る私の抵抗も虚しく、ずるずると引きずられはじめたとき、
「あーあ、俺のお気に入りを誘拐しちゃダメじゃないのお、天野クン」
ぬっと現れた戸部たすくが、人参男の手を「め!」と叩いた。
アマノクン?
アマノくん、アマノくん……。
ああ! そういえばこの人参男――。
「あんた何? 響子先生の知り合い?」
と人参男もとい、アマノさん。
「ふっふーん、天野クン、イイコト訊くねえ。
知り合いというか、もはや――」
「顔見知りです」
「ぎゃん。キョンちゃん、酷いじゃないのよお」
「ようやく名前を知った程度の知らない人です」
「うう。俺、泣くよ? ここで泣いちゃうよ?」
どうぞ、ご勝手に。
「つーか、あんた何なの?
なんで俺の名前知ってるわけ?」
ちょっと怒った様子のアマノさん。
髪をかき上げる仕草が、戸部たすく以上に生理的に嫌だわ。
「なんでって、天野クン、有名人じゃあん。
俺、ガキの頃から知ってるよん」
戸部たすくは、そう言いながら、私をばふっと引き寄せる。
なぜ、ばふっ、かというと、引っ張られた勢いで戸部たすくの体に背中が当たったから。そして、もこっとしたダウンジャケットの中に私の上半身の殆どが埋め込まれてしまったから。
いいから、あなたも離しなさい。