彼女を10日でオトします
というわけで、俺、体育館倉庫にいるの。
なんで、体育館倉庫かと言うと、理由は簡単。
待、ち、伏、せ。
キョンのクラスは、二時限目、外体育なの。
んでもって、キョンは体育の教科係だから、朝のHR終了後ここに確認にくるはず。んー、ストップウォッチとか、カラーコーンとかそんなのを見にくるんじゃないかな?
キョンのクラス受け持ってる体育のセンセってば、すんごい神経質だからねえ。
あ、別にストーカーとか、そういうんじゃないから、そこんとこ勘違いしないで。
ちょっと探れば、すぐわかることなの。俺の情報網、甘くみちゃだめよ。
ぽっけから携帯を取り出して、パカっとあける。
真っ暗な中の携帯電話ってすごく眩しい。
目を細めてディスプレイを覗くと、ふむふむ。そろそろ朝のHRが終わる頃かしら。
ロイター板に掛けていた腰を、よっこらせっと持ち上げて、跳び箱の裏に隠れることにした。
別に隠れることなんてないんだけどね、ちょっとキョンを脅かしてみようと思って。
跳び箱が連なる裏は、余計に埃っぽいというか、粉っぽいというか。
ちょっと気を抜くと、豪快なくしゃみが出そうになる。
我慢我慢。キョンちゃんのらぶりーな驚愕顔みれるんだから多少のリスクは、ね。
そこで、ドキドキを抑えてじーっとしてたら、なんだか眠くなってきちゃった。
歯を食いしばって欠伸をかみ殺す。
こんな素敵な時間になんで眠くなってきちゃうのかなって思ったら、これ、ただの習慣だった。
夜にあまり寝られないことはよくあることだから、寝不足、だなんて野暮なことは言わないけど、この時間はいつも、貴史ちゃんとこでぬくぬくねむねむしてるんだよね。
習慣って恐ろしい。