彼女を10日でオトします
「そういう顔って?」

 私の胸がこんなふうになっているのを悟られたくなくて、わざと冷静な声を出して尋ねた。

「鬼!! そんなこと俺の口から言わせないでよお。
俺、今すんごい悲しんでるんだから。
そんな酷いことを訊いてくる子にはお仕置き!!」

「イタ!!」

「痛くて当然!! お仕置きなんだから。
言っとくけどね、俺のハートの方がもっと痛いのよ」

「だからって耳を噛むことはないでしょ!!」

「じゃあ、しゃぶったほうが良かった?
人前で気持ちよくなりたいんだあ。
キョンちゃんって意外とダ・イ・タ・ン」

「最っ低!!」

 口から飛び出した言葉とは、裏腹に私は胸を撫で下ろしていた。

 それは、たすくさんがいつものように悪戯っぽく笑っていたから、なのかはわからないけれど。
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