彼女を10日でオトします
「荒れ狂った運河で、小舟に乗ってるの……。
私とお姉ちゃんと貴兄のお母さんでね、船の縁につかまって助けを求めてる……」

「うん」

「岸では、貴兄と貴兄のお父さんが一番大切な人を助けようと、手を伸ばしてる。
ひとりずつしか助けられないのよ……」

「うん」

「貴兄のお父さんは、貴兄のお母さんに。
貴兄はお姉ちゃんに手を伸ばす……。
そこで気が付くの……ああ、私には誰もいないんだって……」

「……俺は?」

 おれ……?

「そこに、岸に俺はいないわけ?」

「え……?」

「俺が助けるよ」

 たすくさん……が?

「忘れちゃだめよ。
キョンには、たっしーがいるじゃないの」

 たすくさんは、力強く笑う。
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