彼女を10日でオトします
リスクも多少は必要よね、な7日目
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だいたいね、なんかあるなとは思ってたのよ。
だけど、びっくりしたわな。
ちょっと、遡って考えてみれば、キョンだって、それなりのシグナル出してたわけよ。
俺がトチ狂って、アレ、燃やした時、咄嗟に炎に手のひら押し付けたのだって、きっと、そういうシグナルだったんじゃないかって。
それに気づかなかった俺が、マヌケなのね。
何で気が付かなかったかなあ、ってガラにもなく本気で後悔してみたり。
あまりにも、気持ちがさ、ずーんってするもんだから、「キョンを好きすぎたせい」って思うことにした。
あれからさ、燈子さんが帰ってくるまで、キョンちゃんを抱きしめてたら、キョン、興味深いこと発したわけ。
『私ね、本当は、こんなに泣き虫じゃないのよ。貴兄とお姉ちゃんが結婚した時だって、泣かなかったもの』
あれ? もしかして。みたいな。
それで、やっぱり、眠れない夜を過ごした俺は、思うところがあって、保健室のベッドの上で貴史ちゃんを待ってるわけ。
幸せ探しキャンペーン~千里の道も一歩から~、に必要な、もちろん、これからのキョンにとっても必要なこと。
前に進まなくちゃいけないときなの。
俺、すっごいそう感じる。
今、一歩足をださなくちゃいけないキョンちゃんの為に、俺は――。
扉の鍵を開ける篭った金属音が鳴る。
俺は、ベッドから降りて、上靴に足を通した。