彼女を10日でオトします



 たかしちゃんは、俺の言ったことが飲み込めないのか、突っ立ったまま俺を注視している。

 理解してもらわなきゃ困る。

 それでも、あんまりしつこく言って、警戒されるのはもっと困るから、最後に一言だけ付け加える。

「貴史ちゃん、いいね、絶対に逃げんなよ」

 吐き捨てるように、そう告げて、俺は保健室を後にした。

 これから、キョンを迎えにいく。

 階段を上る足が、二段とばしから一段とばしへ、さらには、何もとばさなくなってきた。

 はあ。
 溜め息がでちゃう。でも、たっしーは頑張るのだ!

 どうにかこうにか、頑固なキョンちゃんを説得しないといけない。
 おせっかいだって、余計なお世話だって言われたって構わない。

 そりゃあ、俺だって聞きたくないし、聞けば辛くなるのだって目に見えてる。

 だけれど、俺がケツもたないとさ。

 だって、キャンペーンに勧誘したのは、俺なんだから、ね。

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