彼女を10日でオトします
「きょーん」
いつものように、私の席に座っていたたすくさんは、私と目が合った途端、駆け寄ってきた。
そして、あっという間に腕の中。
頭と肩に巻きついた腕のお陰で、たすくさんのネクタイだけが私の視界の殆どを占める。
「キョンちゃん、駄目でしょ?
知らない男についてきちゃあ」
クラスメイトなんですが。名前は思い出せなかったけれど。
「高木颯太くん、キミも、俺のキョンちゃんを勝手に連れまわさないでくれる?」
そう言うたすくさんの声の調子は、いつもの変わらないものだった。けれども、声の温度はずっと低くて、背筋に寒気が走る。
「このクラスの男子諸君にも言っておいてよね。
あ、話しかけるのもダメよ!! 金、輪、際!!」
何を訳のわからないことを言っているのかしら、たすくさんは。
「勝手なこと言わないでよ」と言おうとしたところで、
「キョン、行くよ」とたすくさんに腕を引っ張られた。
たすくさんは、私の腕を引っ張ったまま、ずんずん歩く。
コンパスの差によって私が小走りになるのはどうでもいい、と若干上がった肩で語っているように感じる。その速度を緩めようとしない。
高木君に化学室から引っ張られ、今度はたすくさんに引っ張られ……今日は間違いなく厄日だわ。
いつものように、私の席に座っていたたすくさんは、私と目が合った途端、駆け寄ってきた。
そして、あっという間に腕の中。
頭と肩に巻きついた腕のお陰で、たすくさんのネクタイだけが私の視界の殆どを占める。
「キョンちゃん、駄目でしょ?
知らない男についてきちゃあ」
クラスメイトなんですが。名前は思い出せなかったけれど。
「高木颯太くん、キミも、俺のキョンちゃんを勝手に連れまわさないでくれる?」
そう言うたすくさんの声の調子は、いつもの変わらないものだった。けれども、声の温度はずっと低くて、背筋に寒気が走る。
「このクラスの男子諸君にも言っておいてよね。
あ、話しかけるのもダメよ!! 金、輪、際!!」
何を訳のわからないことを言っているのかしら、たすくさんは。
「勝手なこと言わないでよ」と言おうとしたところで、
「キョン、行くよ」とたすくさんに腕を引っ張られた。
たすくさんは、私の腕を引っ張ったまま、ずんずん歩く。
コンパスの差によって私が小走りになるのはどうでもいい、と若干上がった肩で語っているように感じる。その速度を緩めようとしない。
高木君に化学室から引っ張られ、今度はたすくさんに引っ張られ……今日は間違いなく厄日だわ。