彼女を10日でオトします
「たすく、あんたの認識の中じゃどんな野郎になってんの」

 荒木薫、見るからに不良の癖に難しいことを聞くのね。
 不良は考えなしっていう、固定観念は今日で捨てた方がよさそう。

「そうね……。基本嘘つき、変態、頭の中にはいつもたくさんのことが詰まっていて、いつもヘラヘラしてて、人を出し抜くのがうまくて……」

「ははっ。へえ。俺だったらそんなやつ、絶対好きになんねえな。
あんた、相当な変わりもんだろ」

 げ。

「……自分自身、そう思わなくも無いわ」

 荒木薫は、「ふーん」と言いながら、両手を頭の後ろで組んで、含み笑いを見せた。

 な、何よ、その顔は。
 私、変なこと言ったかしら。

「まあ。たすく、あんなんだけどよ。悪いやつじゃねえってのは確かだな」

 また、だわ。
 みんな口をそろえてこう言う。

 私に隠れて口裏合わせでもしていたりして。
 まあ、アレよね。いいやつだよって言わないところが共通のミソなのかしら。

 だったら、いいやつじゃないって言われたほうがしっくりくるんですけど。
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