彼女を10日でオトします
「おい……、おい、キョン」

 キョン!?

「やっと気づいたか。のんが知ってるんだとすれば、もうここには用はねえだろ」

 荒木薫に呼ばれていたらしい。

 しかし、キョンなんて変なあだ名で反応してしまうなんて……悲しすぎる。

「たすくの行き先を先回りするぞ」

 そう言って立ち上がった。
 部屋の奥では、反対に、のどかさんのことを調べてくれた生徒会長がソファーに腰を下ろす。

「……おい、手間、かけたな。助かった」

 荒木薫がボソっと呟くと、生徒会長はニヤリと口の端を吊り上げた。

「薫、貴様の分の仕事は2割り増しにして
とっておいてやるから安心しろ」

「へいへい」

 そう言って、扉に向かう荒木薫。

「さっきの暗示はほんのお礼。
人生の岐路というのは本人が思っているよりも多いのよ。
信じる、信じないはあなた次第だけれど」

「ふん。貴様の暗示とやらがもしも外れたら、その首、無いと思え」

「信じる、と解釈しておくわ。
では、ありがとうございました」

 深く頭を下げて、私は、荒木薫の後を追った。

 祈るような気持ちで、たすくさんの笑顔を思い浮かべながら。

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