彼女を10日でオトします

 バスルームを後にして、俺は仕度をする。

 それなりに気を使ってきた身だしなみも、今はもう、どうだっていい。不思議なくらいに。

 ふと、コルクボードに目をやると、手紙が目に入った。
 キョンと出会うちょっと前に書いたやつ。

 書いたはいいけれど、宛名も書かないままピンをさして貼り付けて、忘れてた。

 書くあて先、なんてないんだけれど。

 ちょうどいいや。持って行こう。
 あそこからなら届くかもしれない。

 ダウンジャケットの内側にそれを挿して、ファスナーをゆっくり上げた。

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