彼女を10日でオトします


 自分の部屋にうっすらと白い光が差し込む。
 結局、結局眠れずに、朝を迎えた。

 たすくさんと出会ってから、数えて10日目。
 生憎の雨模様。

 私を10日でオトすですって?
 冗談じゃないわ。
 急にいなくなってしまうなんて、ルール違反よ。

 私を守るって言わなかった?

 別に。別に、守ってほしいなんてこれっぽっちも思っちゃいないけれど、言ったからにはそれなりの態度でいるのが礼儀ってもんでしょ。

「……嘘つき」

 クローゼットを開けてその中に呟いた。

 だいたい、無責任なのよ。
 もう、たすくさんの存在自体が無責任。

 あんな男、どうなったって知らないんだから。

 好きにすればいいのよ。

 勝手にどっか行って、勝手なことしてればいいわ。

 服を見繕って、クローゼットを力いっぱい閉めた。

「響ちゃーん!! そろそろ起きなさぁい」

 狭い家なのよ。いくら台所からにいるからって、そんなに大声出さなくても聞こえてるわよ、お姉ちゃん。

 私も負けじと返事を返して、服に袖を通し、テーブルの上に置いておいた名刺を拾い上げた。

 見つけて、一発ぶん殴ってやるまで、絶対、許さないんだから!!

 
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