彼女を10日でオトします
「こんなに……」嬉しさと愛しさが一緒くたになって、推し量れないくらいの大きな感情が胸から這い上がってくる。「こんな寒い中、汗かいちゃうほど……しかも、すっごい息切らしてたしね。嬉しいなあ」

「な、何が言いたいのよ! はっきり言いなさいよ!!」

 そう声を荒げながらも、首に差し込んだ俺の手をはらわない。

「はっきりききたいのは俺のほう。
これほどまで心配してくれたのは、どうして?」

 メロンフロートと黒い方を覗き込む。キョンの頬が、耳が、ぐんぐん赤くなる。

「あっ……たっ……。
バ、バカ!!
バカね、たすくさんって、さては、バカだったのね!?」

 面白いくらい慌てふためくキョンちゃん。

 意味がさっぱり通じない反論。胸がくすぐったい。

 なんだこれ。今までの反応とはちょっと違うキョンに俺まで、ちょっと、どぎまぎしてくる。

 ……いや、ちょっとじゃない。やばい。

「や、やあだあ。キョンちゃん、照れちゃってえ。
さあ、言ってごらん。
なーんにも恥ずかしくないんだから。
ちゃんと言えたらご褒美あげるからさあ。
とびっきり恥ずかしいやつ」

 って、早口になっちゃうくらい。

 自分でなんて言ったかなんて、心臓の音が邪魔してよく聞こえなかった。
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