彼女を10日でオトします
「いらないわよ!!
だいたい、何なのよ、その……いかがわしさが満点じゃない!」

「クチでちゃーんと言ってくれなきゃわかんないじゃない」

「バッ……察しなさいよ!!」

「えー。あ、クチで表現してくれてもいいよ」

「ううう……」

 あ、あれ? 「お断りよ!!」が来ると思ってたのに。
 キョンは、顔を真っ赤にして、唇を噛んで、俯いて……。

 いや、ちょっと待って。

 この状況って、キス、しちゃっていいような感じ?
 つうか、なにこれ。
 これって、俺に対する挑戦? 俺を試してる?
 ここで、ちゅーしたら、平手が飛んでくる、みたいなお約束パターン?

 うわあ。キョン……ちょっと見ない間に可愛さに磨きがかかってない?

 一体、キョンに何があったん――あ!

「キョン、そういえば、キョン!!
いつから、かおるんと付き合ってたの!?」

 そうだ。ノリさんが言ってた。
 キョンとかおるんが……ああ、もう駄目。
 これ以上、思い出したら、俺、泣いちゃいそ。

「かおるんって誰よ」

「荒木薫!!」

「ああ、薫さんの事ね」

「『ああ』ってことはやっぱり……かおるんと付き合ってるんだ。
かおるん、イイ男だもんね。
男の俺から見ても、そう思うもん……」

「何言ってるのよ。どうして薫さんと付き合わなきゃいけないのよ。
私、あなたのことが好……あ」

 キョンは、慌てた様子でその口を手で覆った。

 す?
 酢だことか、すっとこどっこいとかじゃないよね? す、って。

 キョン、『好き』って言おうとした……?

 
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