彼女を10日でオトします
あれはまだ、自分の事を『僕』と呼んでいた頃。
母親は、言わば教育ママってやつで、俺は中学受験に備えて毎日塾に通ってた。
親父は、ほとんど家に帰ってこなかったし。俺には母親しかいなかった。
必死で塾に通ってたよ。
友達と遊びたい。ゲームしたい。本を読みたい。全部我慢してさ。
ガキながら、母親に褒められたい一心で。
神様のイタズラってやつなのかな。
その日、俺は、急に体調を崩して塾を早退したんだ。
鍵を開けて玄関に入ると、様子が違う。
嫌な感じ。言葉じゃ表現できない。
ほら、うちの実家の廊下って長いじゃん?
あれがさ、もっと長く感じるんだよ。
俺が入ってくるのを拒んでるってかんじ。
居間に近づくとさ、変な声が聞こえるわけ。
気持ち悪い、寒気がする声。
このへんでさ、なんとなぁくわかるわけよ。
小6つったって、それくらいの知識、ぼやーっと知ってる。
居間の閉まった扉の前に立って、ふつふつと怒りが湧いてきた。
俺がひっしこいて、勉強してるのは、何のためなんだよって。
俺に塾通わせてんのは、こういうことする為の時間作ってるだけかって。
扉を開けると、さっきまで「お母さん」って呼んでいたはずの女と川原っていう若い秘書が絡み合ってた。
全裸。
もうさ、「お母さん」じゃなくて、ただの獣だった。