彼女を10日でオトします
「――まあ、そんなこんなんで、許せなかったんだよ。
今まで、押し込めてきて感情が一気に噴出した、ったかんじでさ」
俺は、ここまで一気に喋った。
包み隠さず、脚色もはしょりも一切なしで。
キョンは、何も言わず、海に視線を預けながら、じっと訊いていた。
それから、波が3回壁にぶつかり砕けたあと、キョンは静かに口を開いた。
「それで、復讐したあと、自首したのね」
「うん。でも、証拠不十分であっけなく釈放。
確かに。事務所とのつながりがわかるものは自首する前に処分したよ」
風が止んだ。鳶の鳴き声が頭をかすめる。
「でもさ」と俺は続けた。「俺、クサくってたわけよ。マリファナ。
尿検査で引っかかったはずなのに釈放。
さて、ここで問題。それは何故でしょう」
「……わからないわ」
キョンは、首を横に振って、首を捻って俺の顔を見た。
キョンの肩を抱く腕に、無意識に力が入る。
「親父。
親父が俺を出した。
罪を償わせてくれなかった」