彼女を10日でオトします
「何度も断ったの。関わりたくないって。
私、誰も彼も無差別に占えるほど、人間できてないから。
私なりのルールがある」

 ルール……。

「『11』が出ていた場合、私は、絶対に占わない」

「『11』って、『死』……だったよね?」

「そう。死に行く運命の人。
戸部さん……たすくさんのお父さんが占って欲しいと指さした男の子には『11』が出ていたから、私は断った」

 俺が燃やした家族写真の男の子って……俺?

「俺の『11』が出てたの……?」

 キョンは、ゆっくりと、でも確実に首を縦にふった。
 嘘だろ……?
 
「でも、俺は生きてる」

「ええ」

「どういうこと……?」

「今、たすくさんの数字は見えない。だから何ともいえないけれど……。
簡単なこと。私の占いが外れたのよ、きっと」

 俺とキョンが中2のとき、親父は、俺が燃やした『家族写真』をキョンに見せた。
 
 『家族写真』の俺に、キョンは『11』、死の暗示を見た。
 
 しかし、俺は、生きてる……ってことは。

「私、ずっと気になってたの。たすくさんだけ、数字が見えない理由。
でも、これで説明がつく。
『私は、自分の占いが外れることがあるなんて思ってなかった。私の意識の中では、たすくさんは、すでに死んでいた。だから数字が見えなかった』」

 キョンは写真にうつっている幼い俺(『11』を見た)と今の俺を同一人物と、無意識の中で、認識して死んでいる人間と位置づけた。

 だから、キョンには俺の数字が見えなかった。

 ……ありえなくは、ない。

 でも、キョン。キョンだって気づいてるでしょ?

 その推論は、根本から破綻してる。

< 355 / 380 >

この作品をシェア

pagetop