彼女を10日でオトします
「キョン、ばあちゃん家に行った?」

「行ってないわ。
私、たすくさんが自殺しようとしてると思ってたもんだから、直感でこっちにいるんじゃないかと思って……」

 人を勝手に殺さないでちょーだい。

「じゃ、行く? これから」

「え?」

「ばあちゃん家、そのままにしてあるんだ。
俺もさ、まだ行ってないし」

「…………」

 なぜか無言のキョンちゃん。俺の手の上に重ねた自分の手を見つめて、何か考えている様子。

「ね、行こ。
んで、今日は、そのまま、お泊ま――」

「たすくさん」とキョンちゃんは、俺の素敵な提案を遮った。「その前に、やらなきゃいけないことがあるでしょ?」

「やらなきゃいけないこと?
俺、キョンちゃんに無事、殴られたけど?」

「そうじゃない。たすくさん自身がやらなくてはいけないこと」

 そんなこと、ある?
 念願叶ってキョンちゃんと気持ち、通じたし。

 通じたからこそ、これから、お泊ま――

「私は、たすくさんのお陰で前に進めたわ。
今度は、たすくさんの番よ」

 うん。だからこそのお泊――

「たすくさん、お母さんに会いに行くわよ」

 え……ぇえ!?

「お母さんに謝りなさい。
この世に、して当然の復讐なんてあると思う?」
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