彼女を10日でオトします
「……ごめんなさい。
少し言い過ぎたわ」

 キョンは、目を伏せて憂苦の表情を浮かばせた。

 俺、何やってんだろ。
 キョンにこんな顔させて。俺自身のことじゃんか……。

「私が言うべきことじゃなか――」

「キョン、行こう」

 キョンの言葉を遮って、俺は、小さな手をさらって歩き出す。

「たすくさん……」

「キョン、ごめん。みっともないとこ見せちゃったね」

 キョンは、鼻の付け根にしわを寄せて「みっともないのは元からじゃない」と微笑んだ。

「帰りに、ドンキ行って、本屋行って。
それから、お姉ちゃんのお店サボってどこかでご飯、一緒に食べない?」

 キョン、ありがと。
 俺、もう、大丈夫。

「いいね。その後は、俺のアパート直行、ね」

 俺のアパートに女の子招くの、キョンが初めてなんだから。
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