彼女を10日でオトします
 キョンは、俺の返事を聞いた後、しばらくそのままの視線で俺を直視していた。

「嘘ね。たすくさん、私に嘘つくの?」

 ……敵わないな。

 どうやって、俺の嘘が見抜けたのかは判らないけれど。
 キョンの言うとおりヒデとかおるんを呼ぶつもりは、ない。

 だけど、そんなこと言ったら、キョンは残るって言い張るはず。

 嘘、つくしかない。

「ちゃんと呼ぶよ」

 キョンの視線を手で払って、顔を背けた。

「ここまで言って、どうして嘘つくのよ!?」

 どうして?
 それは相手が川原だからだよ。

 川原は、俺を憎んでいるから。
 キョンに何するか、わからない。

「いいから、帰ってくれ」

 落とした視線の先に影が現われた。

「どうして帰そうとしてるのかな、坊ちゃん。
彼女が帰っちゃったら、つまらないじゃないか」

 川原……。
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