彼女を10日でオトします
「琴実!!」
俺は、琴実の横に立った。
やっぱり。
琴実は、その両手に刃物を握り締めていた。
刃渡り10センチ程度の、果物ナイフ。
「ぼっちゃん……?」
右に川原。
「たすく……もう大丈夫だよ。
こんな不潔な男、私が殺してあげるから」
琴実はうつろな瞳で俺を見上げた。
シャブでラリってやがる……。
「琴実、こんなことしなくていいんだ。
俺の気は済んだ。
だから、もう……」
「悪いことしたヤツにはお仕置き、でしょ?
たすく、いつも言ってたじゃん。
それに、私のね、気は済んでないんだ!!」
琴実は、ナイフを握り直した。
手が震えてる。
「兄ちゃんなんか、兄ちゃんなんか……。
死んじゃえ!!」
無意識のうちに俺は、琴実の前に飛び出していた。
わき腹に衝撃が走った。琴実が突き出したナイフが俺の腹に刺さっていく。
俺の中に僅かに残っていた良心がそうさせたのか、後悔の念がそうさせたのか。
あるいは、空っぽになった俺の本能が『死』を待っていたのか。
この時は、わからなかった。
ただ、絶叫を上げる琴実に、薄れ行く意識の中、
「俺が自分で腹を刺したんだ。
琴実は何もしてない。誰にもいうな、約束。
こんなことで、お前が罪を被る必要はないんだ……」
確かに俺はそう言った。
俺は、琴実の横に立った。
やっぱり。
琴実は、その両手に刃物を握り締めていた。
刃渡り10センチ程度の、果物ナイフ。
「ぼっちゃん……?」
右に川原。
「たすく……もう大丈夫だよ。
こんな不潔な男、私が殺してあげるから」
琴実はうつろな瞳で俺を見上げた。
シャブでラリってやがる……。
「琴実、こんなことしなくていいんだ。
俺の気は済んだ。
だから、もう……」
「悪いことしたヤツにはお仕置き、でしょ?
たすく、いつも言ってたじゃん。
それに、私のね、気は済んでないんだ!!」
琴実は、ナイフを握り直した。
手が震えてる。
「兄ちゃんなんか、兄ちゃんなんか……。
死んじゃえ!!」
無意識のうちに俺は、琴実の前に飛び出していた。
わき腹に衝撃が走った。琴実が突き出したナイフが俺の腹に刺さっていく。
俺の中に僅かに残っていた良心がそうさせたのか、後悔の念がそうさせたのか。
あるいは、空っぽになった俺の本能が『死』を待っていたのか。
この時は、わからなかった。
ただ、絶叫を上げる琴実に、薄れ行く意識の中、
「俺が自分で腹を刺したんだ。
琴実は何もしてない。誰にもいうな、約束。
こんなことで、お前が罪を被る必要はないんだ……」
確かに俺はそう言った。