彼女を10日でオトします
20。2日目
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変な男だってことは、よくわかったわ。戸部たすく。
人の心にずかずか入り込んできたり……ト、トイレにまで入ってくるのよ。考えられないわ。
それに、朝っぱらから女子の視線が痛いのよ。
すれ違いざまに舌打ちされるわ、小さな声で「ブス」って言われるわ。「ブス」ですって? そんなこと当の本人が一番よくわかってるわよ。
それもこれも――
「ねえ、キョンー。俺のこと『たすくぅ』って呼んでみぃ?」
私の机に頬杖ついて、上目遣いで目をウルウルさせてる、コイツのせい。
休み時間のたびにのこのこ現れて、私の机の前に陣取る。迷惑ったらない。
「何か用ですか? 『戸部さん』」
「だから、戸部さんじゃなくてー」
さっきからこればっかり。他に言う事ないのかしら。
「ほら、4時間目が始めるわよ」
「ほんとだ。キョンは次、化学室だよねぇ」
何で知ってるのよ。ストーカー?
私は、教科書とノートを手にとって立ち上がった。
「じゃあ、私、行くから」
「気をつけてね」
戸部たすくは、なにやら真剣な面持ち。
気をつけても何も、化学室にいくだけじゃない。