彼女を10日でオトします
「妹ちゃんの名前なんていうの？」

「在原響子よ。しってる？」

「うーん、わからないなあ」

　可愛いキョウコちゃん、可愛い……。脳みそをフルに動かして、記憶の中、『女の子』のインデックスが貼ってある引き出しを探してみるけど見つからない。

　たっしーショーック。まだＳ高の中に、知らない女の子がいるなんて……。

「あ、次だ」

　俺は、可愛いキョウコちゃん検索を諦めて、前の座席の背もたれの横に手を伸ばす。　
　機械的なベル音と律儀なアナウンス、「次、止まります」

　お姉さんに挨拶をして、バスを降りた。

　ここから、歩いて５分。そうしたら俺のアパートが見えてくる。
　
　面倒なオートロックのアパート。仕方ないよね、高校生が一人暮らしするのだって、普通じゃ考えられない世の中。

　俺が一人暮らしをするにあたって、親父が出した条件の一つがオートロック。
　俺だって男なんだからさ、こんなもんなくたって不審者くらい撃退できる。と思うのに。
　
　でも、ま、我慢我慢。実家に比べれば楽チンなんだから。

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