彼女を10日でオトします
「いい加減電話切ってやろうと思った直後、『昨日2のBでヘタこいちったから、コットン、キョンのこと守ってあげてね』って。
私、びっくりしちゃって。あいつが私に頼みごとするなんて初めてで」

 け、結局のところ、琴実さんは、何を言いたいんだろう?

「たすくの言う『キョン』が在原さんだった、って言うのも驚きだったけど、教室でのたすくの行動も面白くって……。
ずっとあんたの席にへばりついてたもんね」

 琴実さんは、くくくっと、ひとしきり笑ってから、呆然とする私の方を向いて、
「キョンちゃん、やっかいな男に気に入られちゃったねぇ」
って。

 うげ……。

「あはは。キョンちゃん、すっごい変な顔ー。そんなにたすくのこと嫌いか」

「はい」

「ははははは! そくっ、即答したよ、この子! ざまーみろたすく」

 な、なんか、テンションたかー。ついていけない……。

「ひかない、ひかない。たすくの思い通りになんかならないぜって思ったら、楽しくなっちゃって」

 琴実さんもたすくのこと嫌いなのかな?

「でもね、キョンちゃん」

 琴実さんは、真面目な顔をして続ける。

「たすく、悪い奴じゃないんだよ」

 貴兄と同じこと言う……。

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