彼女を10日でオトします
チャイムが4時間目の終わりを告げ、私と琴実さんは、階段下からはい出た。
階段の目の前、2のB。
妙にしんとした教室の中でぽつんとひとり。教卓の目の前の席で茶色い頭がかくんかくんと揺れていた。
あ、私の席……。
「ほんっと、たすくのやつ、キョンちゃんのこと気に入ってるんだねえ。
ぷ。アホヅラ。写メとったろ~」
戸部たすくの前に回った琴実さんは、ブレザーのジャケットから携帯電話を取り出して今だ揺れ続ける顔にかざした。
「コットン、盗撮なんかしてどうするつもりよ?」
鋭い声がしたかと思えば、それと同時に戸部たすくの右手が琴美さんの携帯をもつ腕を捕らえた。
「このアホヅラをネタにあんたに仕返ししようと思ってね」
夜中の電話の仕返しかしら。
それとも……戸部たすくを睨む、琴実さんの目つきからすると、もっと積もり積もったものがありそうね。
「俺の可愛ーい寝顔、ネタになんかなるわけないじゃないの。ねえ、キョン?」
教室の入口に突っ立ったままの私に向かって、一見、爽やかに見える笑顔を向けた。
はあ。なんて胡散臭い笑顔。
階段の目の前、2のB。
妙にしんとした教室の中でぽつんとひとり。教卓の目の前の席で茶色い頭がかくんかくんと揺れていた。
あ、私の席……。
「ほんっと、たすくのやつ、キョンちゃんのこと気に入ってるんだねえ。
ぷ。アホヅラ。写メとったろ~」
戸部たすくの前に回った琴実さんは、ブレザーのジャケットから携帯電話を取り出して今だ揺れ続ける顔にかざした。
「コットン、盗撮なんかしてどうするつもりよ?」
鋭い声がしたかと思えば、それと同時に戸部たすくの右手が琴美さんの携帯をもつ腕を捕らえた。
「このアホヅラをネタにあんたに仕返ししようと思ってね」
夜中の電話の仕返しかしら。
それとも……戸部たすくを睨む、琴実さんの目つきからすると、もっと積もり積もったものがありそうね。
「俺の可愛ーい寝顔、ネタになんかなるわけないじゃないの。ねえ、キョン?」
教室の入口に突っ立ったままの私に向かって、一見、爽やかに見える笑顔を向けた。
はあ。なんて胡散臭い笑顔。