先輩、俺を見てください
亜美は仕事の手を止め、ずっと立ち続けている優馬に声をかける。まだ報告することがあるのだろうか、と亜美は考えた。

「……先輩」

優馬は、真剣な顔で言った。

「俺、先輩のことが好きです。俺も付き合ってください！！」

一瞬、何が起きたのか亜美はわからなかった。数秒かけて、何が起こったのか記憶を再生する。そして人生で初めて男子から告白されたことに気づいた。

「先輩！先輩は、俺のことをどう思っているんですか？」

亜美が記憶を再生させている間に、優馬は亜美のすぐそばまで来ていた。ドッキリかと亜美は一瞬思ったが、優馬の目は嘘をついているようには見えない。

「……私は」

亜美の気持ちとしては、告白されたことは嬉しかった。友達が彼氏の話をするたびに、自分もいつか彼氏とデートをしてみたいと思う。しかしーーー。

「ごめん、優馬とは付き合えないよ」

亜美は優馬から目をそらし、言った。しかし、優馬がどんな顔をしているかは想像できる。亜美は痛む胸を押さえながら言った。
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